「古志大根」給食で提供 伝統野菜を児童生徒が栽培 篠川小中

2023年02月21日

子ども・教育

児童生徒が収穫した57㌔の古志大根=15日、瀬戸内町篠川(提供写真)

瀬戸内町立篠川小中学校(吉鶴正樹校長、児童生徒9人)の児童生徒が育てた伝統野菜「古志大根」が17日、同町内の給食で提供された。同校の菜園で昨年10月に植え付け、15日に収穫したもの。伝統野菜の保存に取り組む鹿児島大学農学部付属農場の技術専門員、中野八伯さん(42)が栽培に協力した。児童生徒らは、自分たちで育てた古志大根の素朴で懐かしい味わいを楽しんだ。

 

伝統野菜とは、全国各地で古くから食べられてきた在来品種。戦後、収穫量が多い「F1品種」が普及したことで生産量が減少した。中野さんによると、現在確認されている県内の伝統野菜は約120種類で、約7割が奄美群島のものだという。

 

古志大根は同町古志集落発祥。一般的な大根と比べて葉の部分が大きく、根の上部が赤いのが特徴。植え付けから収穫までは5カ月ほどかかる。栽培していた唯一の地元住民が2021年に亡くなったことを受け、中野さんが同校に種を提供して校内菜園で栽培することを提案した。

 

15日に児童生徒が収穫した古志大根は計57キロ。同町学校給食センターで調理し、町内10校1園に振る舞われた。自校調理を行う与路小中、池地小中でも篠川小中の古志大根を使った同じ献立の給食が提供された。

 

メニューは「古志大根のそぼろ煮」。この日は中野さんも来校し実食。児童生徒らは、歯ごたえのある食感で少し苦味のある素朴な風味の古志大根をしっかりとかみしめて味わっていた。

 

古志大根のそぼろ煮を実食する中野さんと生徒ら(右から2人目)=17日、瀬戸内町篠川

 

中学2年の叶結真さん(14)は「(古志大根は)思っていたより大きかった。自分たちで育てたものが瀬戸内町内の学校で食べてもらえて良かった」と笑顔。中野さんは「かつて古志大根がこのように町内で同時多発的に食べられたことがあったのかと考えると胸がいっぱい。何百年も続く食文化を子どもたちが残すことで郷土にも愛着が湧くと思う」と語った。